「マーケティング」と聞くと、なんだか難しそうとは思いませんか?アルファベット頭文字の略語ばかり出てきて、苦手なイメージを持つ方も多いと思います。
でも大丈夫です!本当はまったく難しくありません!中身も簡単なことばかりです。
本当に難しいのは「売れる」方で、この「売れるための仕組み」を考えるための道具がマーケティングです。この道具のジャンル(企画や販促、営業など)が幅広いので、たくさんるので難しく見えているだけです。
なので大企業だけでなく、むしろブログなど個人運営でも必要な道具になります。
また日常で「これ知ってる?意味わかる?」とクイズ形式でマウントを取ろうとする方々が必ずいるので、最低限の用語に対して「ビシッ」と答えたいですよね?
そこで今回は 「マーケティング」 を超わかりやすく図解します!
マーケティング とは?
マーケティング=「売れる仕組み」
なぜ「マーケティング」という言葉は難しいイメージなのでしょうか?それはたくさんの言葉で使われるケースが多いからです。例えば「広告」や「販促」「市場調査」「商品開発」など。これらは間違いではありませんが、一つだけでは不十分です。「マーケティング」とは一言でいうと「売れる仕組みを考える」コトです。つまり「広告」「販促」「調査」「開発」などは一部分であり、アイデア出し→世に出るまで、また世に出した後のテコ入れなど全て含めて「マーケティング」です。
なぜ必要?=「需要」と「寿命」
それでは何故「売れる仕組み」マーケティングが必要なのでしょうか?2つの理由があります。
①世の需要(ニーズ)をとらえる
マーケティングは「売れる仕組み」を考えるコトなので、売れないと意味がありません。そして一番売れるのが「世の需要に合う」ことです。そこで世界中の企業がこの「世の需要」を血眼になって探しています。しかしこの需要、氷山のように「見える部分」と「見えない部分」があるのです。見える部分は誰もがわかるので既に需要は満たされ済と言えますが、逆に「見えない部分」は誰もが気づきにくい部分なのです。つまり潜在部分からいかに需要を発見するか?こそが「マーケティング」の醍醐味と言えます。
②寿命がある
残念ながらこの世には永遠のものなど存在しません。商品やサービスにも同様に必ず「寿命」があるので、「売れる仕組み」つまり「売れ続ける」ためには「延命処置」か「輪廻転生」かの2択になります。この判断を決めることも「マーケティング」の一部です。(知名度の高い商品でも、改良やTVCMなど鮮度アップをしています)
マーケティングとは「売れる仕組み」のこと。 アイデア~世に出るまで全て含めてマーケティング。
世の需要をとらえ、商品やサービスのテコ入れ判断をするのもマーケティング。
それでは具体的にどうすれば「売れる仕組み」を生み出すことができるのでしょうか?ここでは2つの基本概念「マーケットイン」と「 プロダクトアウト」について解説します。
マーケットインとプロダクトアウト
マーケティングの基本概念に「マーケットイン」と「 プロダクトアウト」 という考え方があります。
●マーケットイン
市場調査から出た顧客ニーズを元に、商品やサービスを開発・提供する考え方。
●プロダクトアウト
自社の理念・アイデア・技術を元に、商品やサービズを開発・提供する考え方。
この2つとも基本の「世の需要にあう」は同じですが、スタート元が異なります。マーケットインは外向きな視点から、プロダクトアウトは内向きな視点から。それでは具体例と一緒に解説します。
マーケットインとは?
●マーケットイン= 市場調査から出た顧客ニーズを元に、商品やサービスを開発・提供する考え方。確実性優先、多数決的、責任&リスク分散型。
メリット
徹底的な市場調査で、ターゲット・年齢層・性別傾向など数値化でき、商品特長やターゲットが絞りやすく、低リスクで開発が開発が進められます。
×デメリット
斬新で画期的な製品が生まれにくい。顧客自身が自分のニーズを正確に把握していない場合がある。
マーケットインの成功例:アサヒ飲料「ワンダ・モーニングショット」
市場調査から、多くのビジネスマンが朝食を会社の自席で取っていることがわかりました。家でゆっくり本格的コーヒーより、忙しい朝にネットやメールをしながら片手間で手軽に飲めるコーヒーが求められていました。そこで「朝のスイッチをオンにする、朝専用の缶コーヒー」というコピーで大ヒット商品に。
このようにマーケットインでは「調査から顧客ニーズを導き出す」がポイントです。しかし顧客に聞けば売れるわけではありません。なぜなら顧客自身が「本当の自分のニーズ」に気づいていない場合もあるからです。例としてスマホがあります。発売当初の顧客意見では「打ちにくい、使いにくい、値段が高すぎる」と酷評だったので、ガラケー(ガラパゴス携帯)の開発を続けた結果、スマホ開発に遅れ携帯市場から撤退することになってしまいました。つまりマーケットインからはiPhoneは生み出せなかったのです。それではブロダクトアウトはどうでしょうか?
プロダクトアウトとは?
●プロダクトアウト= 自社の理念・アイデア・技術を元に、商品やサービズを開発・提供する考え方。 独創性、不確実性、ハイリスクハイリターン型。
〇メリット
自社が良いと思う、世に出したいものを作るという理念やアイデア、得意とする技術からスタートするので、競合他社と差別化でき、企業ブランドにも効果的です。
また、市場調査では出てこない画期的な商品が生まれる場合があります。もしスティーブ・ジョブズが市場調査をしていれば、iPhoneは誕生していなかったでしょう。また業界の先駆者になれるので、ブルーオーシャン(独占的市場)を生み出せ、競合他社に対しても優位になれます。
×デメリット
顧客が求めていない商品を作るリスクがあります。企業側、開発側の発想が元なので、かならずしも顧客のニーズに合うとは限りません。発売当初のスマホ(iPhone)は画期的商品として新しい市場を作り出しましたが、近年は発売の度に画面サイズが大きくなり、カメラ画質、処理速度などスペック重視の傾向ですが(コモディティ化で他社と差別化できなくなったのも原因ですが)、それが顧客ニーズに合うとは限りません。スペック重視になりがちなプロダクトアウトでは、性能が顧客の要望を上回ってしまい、顧客ニーズから外れてしまうケースになりがちです。
プロダクトアウトの成功例:アップル「iPhone」
ボタン操作が当たり前という時代から「タッチスクリーン」時代に変えた革命的な商品です。 スティーブ・ジョブズ の狂気なまでのこだわりを、シンプルで美しいフォルムに詰め込んだiPhoneは、プロダクトアウトを代表する製品です。
「世の需要に合う」のがポイント
マーケットインは「 市場調査から出た顧客ニーズを元に」、 プロダクトアウトは「 自社の理念・アイデア・技術を元に」で、いずれもスタートは違うものの、目標は同じ「世の需要に合う」商品やサービスを生み出すことです。どちらにもメリット・デメリットがあるので、自社や外部環境、商品の種類や業界の違い等によって使い分けが必要です。
それではどのように使い分ければ良いのでしょうか?それは目的や目標に合わせてマーケットインかプロダクトアウトか、の戦略や戦術を決めまていきます。
「目的と目標?、戦略や戦術・・何が違うの?」似たような響きなので紛らわしいですね。そこで用語についてかんたんに解説します。
「目的と目標」「戦略と戦術」の違いは?
かんたんに説明すると目的=言葉、目標=数値、戦略=方法、戦術=手段になります。これだけではわかりにくいのでむかし話の「桃太郎」を例で見てみましょう。桃太郎の夢が「村のみんなと楽しく暮らしたい」の場合、
目的は言葉なので→「村の暮らしを守る」
目標は数値なので→「5カ月以内に安全な村にする」
戦略は方法なので→「仲間を集め強いチームで鬼退治する」
戦術は手段なので→「キビ団子の手配」「互いを補う仲間を募集 」「チームワーク強化」
以上のように、まず「目的」を決めて「目標」に数値化し、目標を実現するための「戦略」を考え、戦略を実現する手段を考えたものが戦術になります。
今回の例では戦略が「強いチーム作り」でしたが、この戦略を決めるのが「マーケティング」です。もしマーケティングの結果、内部から崩する方が有効と判断された場合、戦略は「内部からの弱体化で鬼退治する」になり、戦術は仲間募集や育成ではなく、「キビ団子で鬼を買収」「鬼ヶ島に酒を大量搬送」「ウワサを流して互いに疑心暗鬼させる」などに資源と時間を投資する、という戦術になります。
このように目的や目標を決めた後に、実現する方法を考えるのが「マーケティング」です。
フレームワークで思考する
しかし「目標を実現する方法を考えろ!」と急に言われても、簡単には出できません。それで先人が工夫して考え抜いた便利で精度の高い時短グッズを使ってみましょう。それが「フレームワーク」す。真っ白な画用紙に書くのは時間がかかりますが、アンケート用紙のように枠があると非常に書き込みやすくなるのです。
具体的には3C分析やSWOT分析などがフレームワークと呼ばれますが、単体で使うモノではありません。どの段階で、何のために分析するのか?を理解した上で分析します。大きく分けると3段階になります。
- 環境分析:3C分析(補足でVRIO、PEST・4C、5フォース)
- 戦略を考える:SWOT、STP分析
- 戦術を考える:4P分析
このように段階に合わせてフレームワークを使っていきます。
孫子の最も有名な教訓「敵を知り、己を知れば、百戦して殆(あや)うからず」の通り、戦略を「考える」には、先ず「知る」ことが重要です。それでは「知る」ためのフレームワークをご紹介します。
①環境分析:3C分析(VRIO、PEST・4C、5フォース)
3C分析(環境分析の基本)
Company=自社、Customer=市場・顧客、Competitor=競合他社の3つを分析する基礎となるフレームワークです。その他はこの3Cを深めるためのサブ的アイテムなので、まずは3Cだけ頭に入れておきましょう。
また、3C分析からスタートするのは「マーケットイン」的手法と言えます。
自社→VRIO分析
自社(Company)の分析に使われます。経済価値=Value、希少性=Rarity、模倣困難性=Imitability、組織=Organizationの4つ頭文字からなります。自社がどれだけ市場で競争優位性があるのかを自社の経営資源(人・モノ・金・時間・情報・組織)で把握します。自社の現状や優位性、それが一時的なのか持続できるかを判断できます。
市場→PEST分析
市場分析(Customer) に使います。 政治=Politics、経済=Economy、社会=Society、技術=Technology、の4つの外的要因を整理するためのフレームワークです。この結果、自社がどんな環境に身を置いているのか?競合他社はどんな対処をしているのか?を考えることができます。
顧客→4C分析
4Cは顧客分析 (Customer) に使います。顧客の価値=Customer Value、顧客の費用負担=Cost、顧客の利便性=Convenience、顧客との対話=Communication、の4つを顧客目線になりきって分析するフレームワークです。
競合→5フォース分析
競合分析(Competitor)に使います。自社の業界または新規参入したい業界内の競争関係や競合他社の優劣を調べ、自社の立ち位置を分析します。
②戦略を考える:SWOT、STP分析
3C分析で環境分析(自分、顧客・市場、競合を知る)ができたら、次に3Cの情報をギュっとまとめましょう。過多になりやすい情報を、戦略を考えるための情報に整理するのが目的です。
戦略:自分は何者か?→SWOT分析
強み=Strength、弱み=Weakness、機会=Opportunity、脅威=Threatの頭文字です。3Cの情報を元に4つの枠内に「自社が活かすべき強み」「克服すべき弱点」「新たなチャンス」「回避するべき脅威」を書き込み、自分たちは何ものか?何ができてどんなチャンスがあるのか?など今後の進むべき戦略を導き出します。
戦略:顧客はだれ?→STP分析
セグメンテーション=Segmentation、ターゲティング=Targeting、ポジショニング=Positioningの頭文字です。自分たちの顧客はだれなのか?をハッキリさせる分析です。市場を細かく区分し(セグ)→どの区分かを決め(タゲ)→区分の中での立ち位置を決める(ポジ)
で顧客を絞り込、競合他社との差別化戦略を導き出せます。
③戦術を考える:4P分析
3C分析で環境分析をし、SWOTとSTPで戦略を練り、次に具体的な戦術を考えます。
戦術→4P分析
4Pとは、商品=Product、価格=Price、流通=Place、販促=Promotionの4つの頭文字です。先ほどの STPで絞り込んだ「どの市場で、どの顧客に、どのような価値を提供するか」に対して、具体的な企画開発~販促までの「どのような商品を開発し、いくらで、どこを通して、どのように伝えるのか」を具体的に設計します。別名「マーケティングミックス」と呼ばれるマーケティングの基本中の基本で、この4つを組み合わせながら、最も最適で相乗効果が出せる戦術を考えていきます。
マーケットインの3Cから?プロダクトアウトの4Pから?
3C分析からスタートして、最後の4P分析するフローがマーケットインに対して、この4P分析からスタートするのがプロダクトアウト的フローと言えます。どちらが正しいというわけではなく、商品開発やサービスに自信や手ごたえや経験があればプロダクトアウトからスタートし、それ以外はマーケットインから戦略を練ることが無難だといえます。
その他のフレームワーク
モレ・ダブり確認→MECE手法
互いに=Mutually、重複せず=Exclusive、全体に=Collectively、漏れがない=Exhaustiveの頭文字で「ミーシー」や「メーシー」と呼ばれ、思考する際に「全体的にモレなく出たか?その中でタブりはないか?」が確認できます。例えば女性ターゲットを主婦、OL、学生に分析します。これだとOLで主婦の人はカブりますし、フリーター層はモレています。そこでMECE手法を使って10代・20代・30代・・のように細分化しモレなくダブりなく分析することができます。
課題・解決策発見→ロジックツリー手法
急に「問題は何か?課題はどこ?」と聞かれても困りますよね?そこで明確に原因をあぶりだす方法が「ロジックツリー」です。問題の全体を深堀りしていくことで本当の問題原因をリスト化できます。原因が一つ一つハッキリするので、課題に対する具体的な対策が出やすくなります。
深堀り→5回のWHY手法
「なぜなぜ分析」 と呼ばれるフレームワークです。ロジックツリー同様に原因や課題に「なぜ?」を繰返すことで、解決策を導き出すフレームワークです。何度も「なぜ?」を繰返すことで深掘りでき、真の要因にたどり着くことができます。
継続的な改善→PDCA
計画=Plan、実行=Do、評価=Check、改善=Actionの頭文字。品質管理のISO国際基準にもなっている手法です。ポイントは「計画通りに正しく実行されているか?」なので、評価と改善が誰にもわかりやすく、的確に何度も修正を繰り返せば非常に効果的な手法です。
これからのVUCA(ブーカ)時代に必要なこと
よくビジネス世界では「頭文字の略語」が多用され、「この意味わかる?」とクイズ形式でマウントしてくる方が多いので、基本用語だけはスマホにメモっておきましょう。
VUCA(ブーカ)=「将来の予測が困難」と覚えておいてください。
Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性の4頭文字からなる元軍事用語からビジネスで使われるようになった造語です。
使い方としては「不透明な予測できない時代なので、柔軟な対応が必要ですね」をビジネス的に訳して「これからVUCA時代に突入していきます。乗り越えるにはOODA的ループ判断が重要です。そこで・・・」的な感じで使ってみましょう。
※OODA=Observe観察→Orient状況判断→Decide決断→Act行動の4つの頭文字からなる、これまた元軍事用語です。PDCAの会議室的で承認後の判断よりも現場判断を優先するイメージです。
PDCAだと最初の「計画」に縛られますが、OODAでは観察と状況判断を重視します。何が起こるかわからない不透明なVUCA時代では「計画通り」進む方が稀で、それよりも状況に合わせて現場で判断し、柔軟に対応する必要があります。
まとめ
ブログ記事も同じですが、自分の好きなことが世の需要に合えば(プロダクトアウト)良いのですが、客観視や世の需要を探るにはGoogleアナリティクスやサーチコンソール、キーワード分析など(マーケットイン)を行って、地道なPDCAサイクルを回していきましょう。しかし今後はVUCA時代に入ります。何が起こるか不透明な時代です。やってみないとわからない、何がヒットするのか予測が難しい時代です。これからはOODAループで、時代の状況に合わせてどんどんTRYしていき、今後のVUCA時代に柔軟に何にでもトライするチャレンジ精神が重要です。