会計

ROE(自己資本利益率)とは?ROA(総資産利益率)の違い

2023年7月2日

最近、日本政府は税金優遇をしてまでも国民に投資(積み立てNISAやiDeCoなど)を進めるようになり、投資用語がよく聞かれるようになりました。
また旧来は単純な会社の成績(売上や利益など)重視でしたが、、「投資に対してどれだけ儲かったのか?」など投資家視点が注目されています。そこで今回は投資用語の中でも「ROIC」「ROA」「ROE」など「投資に対する利益」系の用語について解説していきます。

企業評価の変化「規模」から「効率」へ

企業を評価するモノサシがどのように変化していったか?時代別で見ていきましょう。
日本が景気が良い時代(経済成長率が9%~4%)では、売上額が大きい会社=良い会社と見られる「規模の時代」が続きました。
そこから成長率1%の時代になると「利益」が重視さ、さらに景気が悪くなると利益確保のために「コスト削減」が主流になっていきますが、それでも利益額がデカい=良い会社という「規模の時代」が残っていました。

しかしさらに景気悪化が続き、外国人投資家が増えていくと、売上額や利益額よりも「効率」が重視されるようになります。例えばB社はA社の半分程度の規模ですが、純利益はA社と同じ額を稼いでいる場合、どちらが「効率的」に稼いでいるでしょうか?
このようにグローバル化が進むことで、海外の投資家が重視しない規模や売上額や会社の規模ではなく、「効率」で氷塊表す「ROA」や「ROE」という概念が主流になっていきました。
さらに2014年、伊藤レポート(欧米に比べ日本企業のROEが極端に低くいと指摘した経産省の報告書)で、具体的ROEの指標(最低限8%)が出されたことで、多くの企業がROEを重要視するようになりました。
またJPX日経インデックス400などの銘柄選定基準に「3年平均のROE」が指標となっているのもROEが重要視されるきっかけにもなりました。

「ROA」と「ROE」

ぱっと見は「ROA」「ROE」など難しそうに見えますが、意外とシンプルで計算式も単純です。
「ROA」も「ROE」も「どれだけ効率よく稼いだか?」をパーセント指標したもで、具体的には「当期純利益」を儲ぎ出すのに、どれだけ投資したか?「ROA」が「資産」から、「ROE」が「資本(純資産)」から計算します。

ROA(総資産利益率)

ROA=Return on Assets(アセッツ)の略。 計算式=当期純利益÷ 資産
資産(返済が必要な他人資本も含めた総資産)から、どれだけ効率よく稼いだか?主に経営者や従業員、債権者視点の指標

ROE(自己資本利益率)

ROE=Return On Equity(エクイティ)の略。 計算式=当期純利益÷資本(純資産)
純資産(返済必要がない自己資本)から、どれだけ効率よく稼いだか?主に投資家や株主視点の指標

つまり「ROE」が自己資本(投資家や株主)での稼ぐ力なので、投資家や株主の指標と言え、
そして「ROA」が総資産(負債含めた他人資本)も含むので、経営者や従業員、債権者の指標と言えます。

以上から「ROE」は業種が違う企業でも比較できることから株式評価の参考に使われますが、「ROA」はあまり異業種間での比較には使われない傾向があります。

まとめ

高度成長期やバブルの時代であれば、単純に売上さえ上がっていけば良かったのですが、景気が下がり続けると利益を良くするためのコスト削減、コスト削減が限界になると資産の削減(合併、統廃合、福利厚生施設の廃止など)、さらにグローバル化により、会社の評価は「規模」→「効率」に変わっていきました。
見た目は難しそうですが、「ROA」も「ROE」もカンタンで「どれだけ効率よく稼いだか?」のパーセント指標です。
「当期純利益」を儲ぐのに、「どれだけの資産を使ったか=ROA」で、「どれだけの資本(純資産)を使ったか=ROE」です。
ROE=当期純利益÷資本(自己資本:投資家や株主)なので、投資家や株主の指標と言え、
ROA=当期純利益÷資産(負債含め他人資本含む)あので、経営者や従業員、債権者の指標と言えます。

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