会計

現在価値とは?将来価値とは?

普段は気づきませんが、実は「お金」は時間で価値が変わっていきます。普通なら今日の100万円と明日の100万円も同じと思ってしまいますが、金融や投資の世界では違います。
そこでこの記事ではお金の価値(現在価値と将来価値)についてわかりやすく解説していきます。

現在価値とは?

現在価値とは、将来受け取るお金を今の価値に計算したお金を言います。
例えば年率5%の投資ファンドに投資しようとした時、友達から「5年後に必ず返すから100万円を貸して!」と頼まれたとします。
(又は投資しないで5年間タンス預金したとします)
この場合、5年後の100万円の価値はいくらになるかというと・・・
現在価値=将来価値÷(1+金利)^n) ※「^」は乗数、「n」は年数です。
5年後の100万円の価値は現在に換算すると「78万円」と言えます。また以下のように、年数が経過する度に現在価値は下がっていきます。
●1年後の現在価値=100万円 ÷ (1 + 0.05)^1年 ≒ 95万円
●3年後の現在価値=100万円 ÷ (1 + 0.05)^3年 ≒ 86万円
●5年後の現在価値=100万円 ÷ (1 + 0.05)^5年 ≒ 78万円
●10年後の現在価値=100万円 ÷ (1 + 0.05)^10年 ≒ 61万円

将来価値とは?

では友達に貸さず(タンス預金せず)に、予定通り年率5%のファンドに100万円を投資した場合はどうでしょうか?
将来価値=現在価値×(1+金利)^n)なので、5年後の将来価値は「127万円」です。
●1年後の将来価値=100万円 × (1 + 0.05)^1年 ≒ 105万円
●3年後の将来価値=100万円 × (1 + 0.05)^3年 ≒ 115万円
●5年後の将来価値=100万円 × (1 + 0.05)^5年 ≒ 128万円
●10年後の将来価値=100万円 × (1 + 0.05)^10年 ≒ 162万円
つまり5年後の100万円は、友達に貸すと(又はタンス預金)「78万円」に、ファンドに投資すると「128万円」となり、お金の「現在価値」と「将来価値」の差額は50万円にも及びます。

※但しお金の価値はインフレやデフレ、外的要因(ドルとの価格など)でも大きく変わります。

時間軸とリスク

上記の例のように、金融や投資の世界では単純に今の価値を見るのではなく、未来を見たり、逆に未来からさかのぼって今を見たりと、時間軸を移動しながら「投資運用」を考えますが、時間軸プラス「リスク」も見ていきます。
先ほどの例は友達でしたが、今度は見ず知らずの人から「100万円を貸して!5年後に150万円で返すから」と頼まれました。
5年で50万円もの儲けですが「見ず知らずの人」に貸すリスクはかなり大きいですよね?
このように世の金融商品もリスクが高いモノもあれば、金利は低いが安全性ばっちりなモノもあり、自分の手持ちや状況に合わせて「投資運用」「資産運用」が練られています。

企業価値

どんな企業でも、事業を始めるにはお金が必要になるので、銀行から借りたり、社債を発行したり、株式を発行したりして資金を集めます。そこで重要になるのが企業の「将来価値」です。この不透明な時代の中で、企業が成長し続ける保証はどこにもありません。シビアにどれだけのリターンが見込めるのか?投資するに値するかをEVA(経済付加価値)やROIC(投下資本利益率)、WACC(加重平均資本コスト)などの指標を見ながら「将来価値」が判断されます。

まとめ

普段の生活では意識しませんが、「お金」は時間軸で価値が変わります。今日の100万円と5年後の100万円は同じか?5年後から見た今の100万円はいくらか?金融や投資の世界では「現在価値」と「将来価値」という物差しで、企業への投資や融資を判断していきます。

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