マーケティング

STP分析(戦略の立案)市場と立ち位置を決める

2023年2月6日

マーケティングプロセス「R(調査)→STP分析→MM(4P分析)→I(実施)→C(管理)」の「R調査」を終えたら、次はSEP分析です。コトラー教授により提唱されたフレームワークで、「市場と顧客を絞り込んで自社の立ち位置」を分析します。

例えば飲食店でお酒の種類を決めるにしても、多くの種類を用意すれば顧客には親切でも、種類に比例してコストも倍増していきます。
限りある予算の中で最大限の効果を得るためにも「絞り込み」が必要ですが、そこで便利なのがSTP分析です。

STP分析とは?

STPとはSセグメント、Tターゲット、Pポジションの頭文字から付けられました。
※セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングなど(ing)で呼ばれる場合もあります。

Segment(セグメント)市場の区分
Target(ターゲット)顧客の絞り込み
Position(ポジション)自社の立ち位置を決める
全ての市場に手を出していては、資金も時間も足りません。
セグメント(市場の区分)→ターゲット(顧客の絞り込み)→ポジション(自社の立ち位置)を決めることで、自社にとって最小予算で最大効果が出せる戦略を絞り込んでいきます。

Segmentation(セグメンテーション)市場を区分する
市場を以下の視点から区分することでしていくことで、顧客グループを細分化しやすくなります。
具体的な区切り方として、以下の変数から「ニーズがあるか?」を見分けながら区分していきます。
人口変数(年齢、性別、家族構成、職業など)若者or高齢、単身者or家族層などの区分。
地理変数(地域、気候、人口、文化、生活習慣など)オフィスor住宅街、暑いor寒い地域か等の区分。
心理変数(趣味趣向、価値観、パーソナリティなど)健康、環境、自然派など志向の区分。
行動変数(購買行動・心理、購買目的、利用頻度など)速さorコスト、新規orリピートなど行動の区分。

Targeting(ターゲティング)顧客を絞り込む
セグメンテーションで市場を区分できたら、次はターゲティングです。どの市場が自社にとって最も最適か?狙う市場を絞り込みます。ポイントは
●自社の強みが活かせる市場か?●自社の理念やブランド、コンセプトに合っているか?
また、以下の3つのパターンからも選択できます。
①無差別マーケティング
あえて区分(セグメント)を無くし、市場全体をターゲットにする方法です。
全ての層に同じアプローチができるのでコストが抑えられる反面、個別な対応が薄まります。大量生産品、食料品や消耗品などに適します。
②分化型マーケティング
セグメントで細分化された別々の層に合わせてサービスや商品を提供する方法です。無差別と同じくらい広い顧客層を抑えつつ、それぞれの層に合わせて対応できる反面、コストUPになりがちです。
③集中マーケティング
取捨選択して、狙う市場だけに絞り込む方法です。よりニッチになるので、ファンが付きやすい反面、規模が小さくなりがちなので利益確保しにくいケースがあります。

Positioning(ポジショニング)自社の立ち位置を決める
自社の商品・サービスの「強み」、競合他社に負けない「独自性」を追求し、ターゲットに設定した市場における自社のポジションを明確にします。競合と比較した際の競争優位性を打ち出します。

セグメンテーションで市場を区分し、ターゲティングで顧客層を選択したら、今度は自社の立ち位置を明確にします。分かりやすいのは「ポジショニングマップ」です。縦軸、横軸に項目を入れ、自社と競合他社との立ち位置が見える化できるので、どんな付加価値で?どうやって差別化できるか?など具体的な戦略が練りやすくなります。

逆でもOK!(ターゲティング→セグメンテーション)

通常は「セグメンテーション→ターゲティング→ポジショニング」の順ですが、先に「ターゲティング」を決めてから「セグメンテーション」しても問題ありません。
既に自社の資産や得意分野がある場合、すでにターゲットは確定している筈です。
もしワイン輸入業者が飲食店を開店する場合、ターゲットを「ビール派」まで広げる必要はありません。ワインから逆算して、地域に適したセグメンテーション(人口や地域変数など)を決めるのも効果的です。

まとめ

全ての市場に手を出していては、資金も時間も足りません。限りある予算の中で最大限の効果を得るために「絞り込み」が必要です。
そこでSTP分析(市場の区分→顧客の絞り込み→立ち位置を決める)により、最も効果的な戦略を絞り込むことができます。また、これまで気づかなかったターゲットを見出したり、ニーズの深堀りや従来習慣の見直しなど、新しい発見も期待できます。その発見には「メタ視点(客観視)」が重要なので、あまり自社意識に偏らず、より顧客目線で分析することが重要です。

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