マーケティングはR(調査)→STP分析→MM(4P分析)→I(実施)→C(管理)のプロセスで行いますが、最初の「調査」ではマクロ(鳥の目)とミクロ(虫の目)の2つの視点から調査します。
鳥の目は広く遠くまで見渡せますが、近くの足元も見ないと転んでしまうので、2つの視点が必要です。
今回はミクロ分析(虫の目)の中でも「SWAT分析」について解説していきます。
ミクロ分析とは
「ミクロ」は極小の意味で「ミクロ環境」は企業に直接影響のある市場や競合、個々のユーザーの経済行動に絞られた環境を指します。
そして「マクロ分析」が政治経済などの大きな流れ(企業がコントロールできないコト)に対して、「ミクロ分析」は自社に直接的で身近な環境について分析します。
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マクロ分析(PEST分析)で俯瞰する
この「ミクロ分析」に最適なツールが以下のフレームワークです。
SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威)自社の市場機会や課題を洗い出す。
PPM分析(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)どの事業に投資するか優先度を測る。
5F分析(ファイブフォース)勝負する業界を決める。
今回は「SWOT分析」について解説していきます。
SWOT分析とは?
SWOT分析は、自社に最も適したビジネスチャンスを洗い出すことができるフレームワークです。
Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの視点で書き出します。
Strength(強み)=自社の強み・長所・得意なこと(内部のプラス要因)
Weakness(弱み)=自社弱み・短所・苦手なこと(内部のマイナス要因)
Opportunity(機会)=経済・社会・業界市場で優位なこと(外部のプラス要因)
Threat(脅威)=経済・社会・業界市場で劣勢なこと(外部のマイナス要因)
※(弱み)と(脅威)が混同しやすいので、自社でコントロールできるか否かで分けましょう。
(弱み)=内部のマイナス要因(自社が原因で、改善すればなんとかなるもの)
(脅威)=外部のマイナス要因(自社では変えようがないもの)
例:「認知度が低い」は広告宣伝で改善余地もあり(弱み)になりますが、「少子高齢化」は社会全体のコトなので(脅威)に区分されます。
クロスSWOT分析
SWOT分析で情報が整理できましたが、今後なにをすればいいのか?具体案まで出すために、4つの要素をクロス分析(掛け合わせて)していきます。
①S強み×O機会:強みで市場機会が最大化できる(積極攻勢)
②S強み×T脅威:強みで市場脅威に対処する(差別化戦略)
③W弱み×O機会:弱みで市場機会を活用する(段階的施策)(改善戦略)
④W弱み×T脅威:弱みで市場脅威に対処する(防衛・撤退)
以上①~④の掛け合わせに対して対策を考えます。ここでクロスSWOT分析を、スターバックスの例で見てみましょう。
事例紹介:スターバックス
まずスターバックスをSWOT枠に書き込んでみましょう。
Strength(強み)=ブランド力がある、社員の士気が高い、食べ物が美味しい
Weakness(弱み)=年配者への知名度が低い、単価が高い、(FC店は無いので)出店が遅い
Opportunity(機会)=女性の社会進出、外出時のPC使いが増加、デフレ脱却傾向
Threat(脅威)=高齢化、(コンビニふくめ)競合他社が多い、健康志向の高まり
以上4つの視点から出た要素をクロス(掛け合わせて)分析していきます。
①S強み×O機会 (積極攻勢):ブランド力を活かし女性向け商品開発
②S強み×T脅威 (差別化戦略):健康ブランド確立高付加価値
③W弱み×O機会 (改善施策):ブランド年配投資家へ積極情報配信
④W弱み×T脅威 (防衛・撤退):若者向けに特化既存店収益見直し
以上の掛け合わせにより、具体的な4つの戦略が出てきましたが、一番注力すべきは①の(強み×機会)がメイン戦略となります。
まとめ
SWOT分析は、自社が最も注力すべき事業を洗い出せるフレームワークです。多角的な視点から、自社の(強み)(弱み)(機会)(脅威)を整理することで、限りある資源を何に注力すべきかの答えを導き出し、新しい事業やヒット商品のきっかけにつながります。
4つの枠に図式化され理解しやすいので、他部署や他メンバーへの共有や、進行もスムーズになります。
また、拡大させたい事業や伸び悩みむ事業のケースでもSWOT分析が効果的です。