「スピリチュアルズ」と怪しげなタイトルですが、オカルト・心霊・占いの話ではありません。心理学、脳科学、進化生物学、行動遺伝科学などの英知を土台とした、人類がずっと抱き続けた疑問「わたしとは何?」という人類史上最大の謎に迫った本です。
「本当の自分とは?」「自分探しをしている」「自分の才能を活かしたい」と悩んでいる方にオススメです。
著者はベストセラー「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」や新書大賞「言ってはいけない残酷すぎる真実」の著者である橘玲(たちばなあきら)さん。
結論:「わたし」とは8つの要素(ビックエイト)でできており、要素選択の思考パターンが人格(パーソナリティ)(キャラクター)である。
・要素の選択パターン(人格)は、「快」か「不快」かで選択され、無意識で行っている。(脳科学では「私」とは無意識)
・無意識下の「快」と「不快」の受け方の違いが「人格」「性格」「個性」と呼ばれる。
・「快」「不快」は3つから構成される。
①本能(報酬を好み、損失を避け、生存・生殖を最優先)(生物として共通する項目なので殆ど皆共通)
②DNA(遺伝) ③生活環境・時代背景
・自分の「内面」プラス、「外面」(他者・社会)からの客観的な人格(キャラ)付けで「役」を演じているケースがある。
まとめ:「わたし」とは「無意識」の思考パターンであり、すぐに変えることがむずかしい。また無理に変える必要もない。今は多種多様でボーダレスな社会。じゅうぶんニッチ分野でも生きていける時代なので、自分の人格(キャラ)で、生きていくのかを模索するのが一番。
詳細解説・補足
人格を構成する8つの要素(ビッグエイト)※心理学の「ビックファイブ」に著者が3つ要素を加えたもの(赤太字のもの)
①外向的↔内向的 明るい↔暗い
ドーパミン(脳内快楽物質)は人を行動せる原動力。外向的な人はドーパミン分泌が多く積極性が高くなり、内向的な人はドーパミン分泌が少なく内向的に。
②楽観的↔悲観的 精神的に安定している↔不安定
セロトニン(体や精神を安定させる)を元とする損失系システム(ネガティブな刺激に対する神経の覚醒度)の違いから。
楽観的な人=ネガティブなコトに鈍感。悲観的な人=ネガティブなコトに敏感。
③同調性 協調性あり↔自分勝手
④共感力(同調性を分解) 相手に共感する↔冷淡
同調性が低いと集団の中で生存に不利のため、多く人が必須の能力として備えています。一方「共感性」は低くても生存において有利になるケースがあり、リーダーや社長、医者など冷淡な判断が社会的成功につながる場合もあります。また女性は共感力が高く男性は共感力が低いという研究結果も出ています。
⑤堅実性 信頼できる↔あてにならない
今だけでなく未来視点の強弱で「自分を制御する」力の差になります。未来価値が高に人は将来に備え、未来価値が低に人は目の前の快楽に流されます。どちらが良いという訳ではなく、変化が激しく明日もわからない環境と、安定性ある環境では、有利にも不利にもなります。
⑥経験の開放性 面白いか↔つまらない
新しいものへの好奇心や、創造性、想像力の強弱の差になります。過去とまったく同じ経験でも「前とは違うパターンかも」と飽きずに好奇心が出る人と、過去とぜんぜん違う経験でも「基本的には前と同じパターンだ」と以前の経験を活かせる人、という違いになります。
⑦知能(追加) 賢い↔愚鈍
「⑥経験の開放性」に知能性を加えて4つに分類。
経験の開放性が高く、知能が高い人=リベラル(自由主義)
経験の開放性が高く、知能が低い人=陰謀論者
経験の開放性が低く、知能が高い人=成功した保守派
経験の開放性が低く、知能が低い人=保守派
⑧外見(追加) 魅力的↔凡庸
外見も大きく人格(キャラ)に影響を与えます。こちらも「③同調性」とつながりますが、集団の中で外見からくる人格(キャラ)イメージがあり、その集団の中で最適なキャラ(役)を選んで演じるケースもあります。