「経営学」と聞くと、社長や役員などの経営層や、経営のプロ(MBAなど経営学の修士)が学ぶイメージがあるのでないでしょうか?
リーダーや社長を目指す人が学ぶので「自分には関係ない」と思いがちですが、新入社員や部署異動などで新しい仕事を始める時にも、メタ視点(俯瞰)が有るのと無いのでは、習得度の速さが全然違ってきます。
自分が担当する業務内容やオペレーション方法などミクロ視点を習得するには、一度抽象度の高いマクロ視点で見ると、より理解できます。
そこで今回は「経営学」についてわかりやすく解説していきます。
経営学とは?
経営学は、限られた資源(ヒト、モノ、カネ、情報)で、いかに効果よく市場で勝ち続けるかを研究した学問です。要するに「企業が繁栄する手法」を学ぶことです。
「企業が繁栄する手法」は過去の成功・失敗事例から研究され、勝てる方法(定石)を集約したものが経営学と言えます。これまでの起業家や経営層が積み上げてきた経験値が集約されているので、経営層の思考を習得しやすく、当然勝率も高くなります。
しかし現実のリアル世界は平坦な2次元ではなく、先の見えない立体的で不透明な盤の上で戦うことになり、定石すら通用しないケースも出てきますが、定石に仮設思考や未来予測を組み合すことで、より素早く対応することができます。
また自分が経営層では無いにしても、経営学を学ぶことで「経営者視点」が得られます。特に大企業など大きな組織の場合、自分の視点が低すぎると自分を見失う場合があります。一度メタ視点で鳥の目で企業を眺めると、自分や他部署の役割りが見えてきて、仕事のやりがいもアップする筈です。
この記事は平野敦士カール著「大学4年間の経営学見るだけノート」を参考しています。本著は学生、新社会人など、これまで「経営学」に触れてこなかった方に向けに、ダイジェストに図解で解説されており、非常に分かりやすいです。
経営学の内容
経営学は「企業が繁栄する手法」ですが、2つの切り口で分けると
①企業の内側か外側(外部環境)か
②資源(ヒト、モノ、カネ、情報)
で分けると、4つに分割できます。
1アカウンティング(会計) 2ファイナンス(金融)
3マネジメント(経営戦略) 4マーケティング(売れる仕組み)
1アカウンティング(会計)
お金を何に使ったかなど、お金の管理が会計や簿記です。また投資家に会社の成績表(決算書)を報告する役割があります。このように企業の内側のお金の管理がアカウンティング(会計)です。
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会計とは?経理と財務の違い
2ファイナンス(資金調達)
企業成長の原動力となる投資を、企業の外部(銀行や投資家)から戦略的に調達するのがファイナンスです。
3マネジメント(経営戦略)
カネ以外の資源(ヒト、モノ、情報)を使い、企業内でどのように運営するか管理するのがマネジメントです。
どの事業に資源を注力するのか?新規事業か海外進出か?M&Aなど企業買収か?などを考えるのが経営戦略になります。
4マーケティング(売れる仕組み)
カネ以外の資源(ヒト、モノ、情報)を使い、企業の外側に向けて「売れる仕組みを作ること」がマーケティングです。もちろん企業の内側(自社の強みや得意分野)も考慮しますが、消費者が何を欲しているのか?トレンドの動きは?など外部環境を配慮して戦略を練るのがマーケティングになります。
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マーケティングってどうやって進めるの?マーケティングプロセスとは?
経営学と経済学の違い
大学にも「経営学部」と「経済学部」が、「経営学」が企業の運営にフォーカスした学問に対し、経済学はマクロ経済(世界、国、政府)からミクロ経済(企業、個人、市場)まで経済活動全体を学ぶ学問になります。
例えば経済学がデフレ(モノや物価が下がる現象)で消費者や企業がどんな行動をするか研究するのに対し、経営学はデフレ状況でいかに企業が勝ち残っていくかを研究します。
MBAとは?
大学院を卒業すると「修士」という学位がもらえますが、その中で「経営学」を修めた人がもらえるのがMBAという修士(学位)です。
Master of Business Administration(マスター・オブ・ビジネス・アドミニストレーション)の略。
学位とは「学問に関する称号」みたいなもので、大学を卒業すれば「学士」、修士課程を修了すれば「修士」、博士課程を修了すれば「博士」という称号(学位)がもらえます。
MBAと聞くと「経営のプロ」のイメージがあるので、一時期MBA取得が流行った感がありますが、あくまで称号です。学問としての起業家や経営層の経験値は習得できますが、リアルな経営者の精神力や丹力、判断力や決断力は、やはり実践からでしか学べません。
まとめ
「経営学」は過去の成功・失敗事例から研究された勝てる方法(定石)、つまり「企業が繁栄する手法」を集約した学問です。
これまでの起業家や経営層が苦労して積み上げてきた実例集なので、より実践的に経営トップ層の思考を習得しやすくなります。
「経営学」や「MBA」と聞くと「自分には関係ない」と思いがちですが、経営学を学べば「経営者視点」が得られます。特に大きな組織では、自一度メタ視点で鳥の目で企業を眺めないかぎり、自分の役割りや他部署の存在意義が見えない場合があります。
しかし学問上で「勝てる方法(定石)」を学んでも、リアルな経営者の精神力や丹力、判断力や決断力までは学べないので、やはり実践の積み重ねが本当の「経営学」と言えます。