人でも会社でも、相手の財務状況が分からないと「お金を貸しても大丈夫?」か分かりません。そこで「決算書」を見て確認します。決算書は「財務3表」とも呼ばれ、3つの表から構成されています。
①貸借対照表(バランスシート)(B/S)「稼いだお金を何に使っている?」「純資産はいくら?」
②損益計算書(P/L)「稼ぎ、収益はいくらか?」
③キャッシュフロー計算書「財布の中に現金がいくらあるか?」
以上の3つが確認できますが、今回は②の損益計算書について解説していきます。
収入(売上)が億あっても、経費も億単位で利益が数万円では「稼ぎが良い」とは言えないので、本当の実力(本業の稼ぎ)を確認する必要があります。
損益計算書とは?
損益計算書は「1年間でこれだけ利益を出ました」が分る決算書類です。英語Profit and Loss Statementから(P/L」とも呼ばれ、「売上」と「費用」と「利益」が表示され
「どれだけ売上があり」「どれだけの費用がかかり」「どれだけ儲かったか」が分かるようになっています。
また固定経費(家賃や人件費など売上額に関係なくかかる費用)を確認できるので、黒字と赤字の境界線「損益分岐点」も判断できます。
また「利益」が「本業」か「それ以外」かも分かります。本業が食堂でも、食堂以外を賃貸物件で貸していれば家賃収入は「それ以外の利益」になります。
利益の種類(5つの利益)
「損益計算書」と書くと難しく感じますが、売上額から費用を引いていき、最終的に残った利益額を計算するのが目的です(本業以外の利益や費用も計算しますが)。
そして利益には5つの種類「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」があるので、順に解説していきます。
売上総利益
売上総利益は、売上高-売上原価で計算されます。これぞ「本業の稼ぐ力」を表します。
売上高は、本業によって稼いだお金の合計で、本業以外は含みません。
売上原価は売上を生み出すためにかかった全ての費用です。原材料や商品仕入れ費用なので、基本的には売上の増減で売上原価は変化します。逆に売上に関係なく毎月かかる費用(家賃や人件費)は含まれません。但し製造に関わる作業員の人件費は売上原価に入ります。
商品やサービスが稼ぎ出す力が「売上総利益」と言えます。
営業利益
営業利益は、売上総利益-販売費および一般管理費で計算されます。名前の通り営業力で稼いだ利益で、売上総利益から販売に欠かせない販売費および一般管理費を差し引くことで営業利益を算出します。
販売費は広告や宣伝費など、一般管理費は家賃や人件費、交際費、電話代、などが該当します。
会社が稼ぎ出す力が「営業利益」と言えます。
経常利益
経常利益は、営業利益+営業外収益-営業外費用で計算されます。本業利益の「営業利益」に、本業以外の利益や費用をプラマイしたものが経常利益です。借入の利息や、株の売却益など利益を求めることができます。
営業外収益は、本業以外の収益で、預貯金や貸付金の利息や、株や債券の売却益や利息などを言います。
営業外費用は、借入器の利息や社債発行の費用など、営業活動以外の費用を言います。
税引前当期純利益
税引前当期利益は、経常利益+特別利益-特別損失で計算されます。名前の通り法人税など税金を払う前の利益を言い、特別利益と特別損失をプラマイして算出しますが、特別の名前の通り、滅多に無い事例の収益や損失が該当します。
特別利益は、固定資産など不動産の売却益や、株式や証券の売却益を言います。
特別損失は、固定資産など不動産の売却損や、株式や証券の売却損、災害などによる損失を言います。
当期純利益
当期純利益は、=税引前当期利益-法人税で計算され、決算における最終利益のことを言います。
※ここがマイナスなら赤字になります。
法人税は、会社の利益額に合わせて課される法人税や法人住民税、法人事業税のことで、合わせて「法人税等」と呼ばれます。
このように最終の「純利益」を計算するための表が「損益計算書」になります。
まとめ
損益計算書(P/L)と書くと難しく感じますが、計算はカンタンで、「売上」から「費用」を引いていき、残った額が「利益」、というように表示していきます。また利益には5つの種類「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」がありますが、重要なのは「売上総利益」(商品やサービスが稼ぎ出す力)と、「営業利益」(会社が稼ぎ出す力)の2つがポイントです。